チーフレジデントの皆さんは、講義やカンファレンスを企画進行することも多いでしょう。先の予定を立てていくにあたり、共通で必要な症候学、疾病学などのコンテンツは想像しやすいかもしれませんが、システム的なところはどうでしょうか。ACGMEのコアコンピテンシーにも「System Based Practice (医療システムを理解した診療)」というのが含まれます。
何を習得目標にすればいいか?誰を講師として呼べばいいか?などの疑問に役立つかもしれない資料をご紹介します。
2017年に米国ホスピタリスト学会(SHM; Society of Hospital Medicine)が公表した「ホスピタリストのためのコアカリキュラム」のうち、Part 3は院内のシステム的なことや、科を超えた普遍的な学習項目をスッキリ(KAS: Knowledge, Attitude, Skills) とまとめてくれています。
以下に小項目をまとめますと、
- 高齢者のケア
- 医療を適切に受けにくい患者(vulnerable population)のケア
- コミュニケーション技術
- 臨床推論
- 医薬品の安全性、コスト意識、疫学的効果判定
- 医療資源の公平な配置 (Equitable allocation of resources)
- エビデンスに基づいた診療
- 教育者としてのホスピタリスト
- 医療や患者情報の取り扱い
- リーダーシップ
- 医師の労働環境をマネージメントする
- コンサルテーションと併診の基本
- 入院患者の栄養管理
- 緩和ケア
- 患者教育の基本
- 申し送りの基本
- 患者安全の基本
- 診療システムの問題点をあげて改善する (Practice-based learning and improvement)
- 院内感染症と多剤耐性菌を防ぐ
- プロフェッショナリズムと医療倫理
- 医療の質やプロセスの改善 (Quality improvement)
- リスク管理、医療に関連する法律を理解する
- チーム診療と多職種連携 (Multidisciplinary care)
- 病棟から外来への連携 (Transitions of care)
項目は多いですか?少ないですか?いずれも大切だけどなかなか系統だって教えられることの少ない項目だとは思います。
これらを参考に、普段とは違う勉強会やワークショップを企画してはいかがでしょうか?